自転車が高い!!近年新車価格が高騰している自転車業界。そうした背景もあり、メルカリやヤフオクなどのフリマアプリ、あるいは中古専門店で自転車を手に入れる方が増えています。憧れのカーボンロードやハイエンドコンポが手頃に手に入るのは大きな魅力ですよね。
しかし、ここで絶対に気をつけたいのが「メンテナンス状態」です。
今回は中古車をゲットしたユーザーが直面しやすいトラブルとして、チェーンの長さと取り付け方法についてまとめてみました。
たかがチェーン、されどチェーン。駆動系をつかさどる重要なパーツであり、タイヤに次ぐ消耗品の代表核ですので、交換が必要な場合は必ず交換していきましょう。
危険!チェーンの長さミスが引き起こす「二次災害」
最近遭遇した事例ですと、「前のオーナー(または整備不足のショップ)によるチェーンの長さ間違い・誤った取り付け」です。
ビックプーリーなどを使用していて、チェーンの長さそのままに、売りに出す際に純正プーリーに戻したなど。状況は様々ですが一見すると動作できているので、チェーンはそのままの状態で使用してしまうオーナーがいるのも事実。しかし・・・
「買ったばかりなのに変速がスパスパ決まらない」
「段差で頻繁にチェーンが落ちる」
そりゃそうなりますよね・・・
こうした症状に悩まされている方の車体を確認してみると、チェーンの長さが適正でないケースが多々あります。チェーンの長さがあっていないと、チェーン落ちにとどまらず、以下のような深刻な二次災害を招く危険があります。

- ディレイラーの巻き込み・破損(アウター×ローに入れた瞬間、チェーンが絡まりリアディレがもげる)
- ディレイラーハンガーの破断(チェーンが絡まりリアディレイラーがもげた衝撃でハンガーも破損)
- ホイール(スポーク)の破壊(チェーンがきれてホイールとスプロケの内側に食い込み破損してしまう)
- 最悪の場合、フレーム自体のクラッシュ・大落車(チェーン切れたことで、リアディレイラーが勢いよくはじけゲージがフレームにめり込む事例もあります)
チェーンはただ繋げばいいパーツではありません。メーカーや世代(11速・12速)ごとに「正しいチェーンの切り方(長さの決め方)」が厳密に定められています。
今回は中古市場でもシマノ、カンパニョーロ、スラムで人気のある世代。機械式・電動11速・12速のチェーンカット・取り付け方法を分かりやすく解説します!
チェーンの切り方に世代間のバリエーションがあるシマノ。
シマノは、11速と12速でチェーンの長さの決め方がガラリと変わるため、感覚だけでカットすると痛い目を見ます。
【11速の場合】スプロケットの歯数によって手順が変わる!
シマノ機械式・電動11速の場合、スプロケットサイズが27Tを基準としてカット方法が異なります。

◆ スプロケットが「11-27T以下」の場合
- チェーンをフロント:アウター / リア:トップ(最小スプロケット)に掛けます。
- リアディレイラーのプーリーケージに正しくチェーンを通します。
- 「ガイドプーリー(上側)」と「テンションプーリー(下側)」が、地面に対して垂直(90度)に一直線に並ぶ位置を探します。
- その位置が適正なカット位置となります。


※前提としてシマノ純正チェーンには表面と裏面があります。表面にはモデル名などの刻印がありますので、必ず表面が見えるようにチェーンを通してください。裏面で通すと異音が発生したり、変速性能が著しく低下します。(サードパーティーチェーンには表/裏の概念はありません)
◆ スプロケットが「28T以上(30T、32T、34Tなど)」の場合
※近年のワイドレシオギアはこちらになります。

- リアディレイラーにはチェーンを通しません。
- フロント:アウター / リア:ロー(最大スプロケット)に直接チェーンをぐるっと掛けます。
- チェーンの両端をピッと引っ張り、重なり合ったゼロ位置を確認します。
- 接続方法によって足すリンク数が異なります:
- チェーンピン(コネクティングピン)で接続する場合: ゼロ位置から+2リンク(外プレート・内プレート各1)
- クイックリンク(ミッシングリンク)を使用する場合: ゼロ位置から+1リンク(両端が内プレート=オス同士になる位置)
チェーンの切り方が2パターンあるのはシマノ11速コンポ特有ですので、切り方を間違えないよう気を付けましょう。
【12速の場合】ディレイラーは通さない!
12速ロードコンポ(R9200/R8100/R7100など)は、シマノの12速MTBと同様の基準に統一されました。


- リアディレイラーにはチェーンを通しません。
- フロント:アウター / リア:ロー(最大スプロケット)に直接チェーンを掛けます。
- スプロケットを1周して重なった位置を基準としてコマ数を決定します(※クイックリンク使用を前提としてオス同士になる位置+指定リンク数)。


11速の感覚(プーリー垂直出し。チェーンをかさねてからの1~2リンク増やしてのカット)で12速チェーンを切るは絶対にダメです。12速からはDi2が105まで普及しており、電動化が進んでいます。モーターの力で変速するので誤ったチェーンの取り付けを行うとディレイラーが破損する原因になるので絶対にやめましょう。
2. カンパニョーロ(Campagnolo)のチェーンカット方法
独特の造形美と操作感で根強い人気を誇るカンパニョーロ。とても高価なコンポとしての印象が強く当時は手が出せなかったというユーザーも多いです。中古なら良心的な価格帯が魅力的ですね。
しかし、カンパニョーロの組付けは難易度がたかく、スモールパーツは単品買いできず、数個まとめて販売する方式をとっているため価格が地味にわりだかな設定となっています。もちろん品質は言うまでもなく精巧なわけですが、組み付けを間違えるとただの鉄くずと化します。チェーンはその代表核といっていいほど。長さを間違えた瞬間、チェーンは使い物になりません。
【11速(機械式)の場合】プーリー間の隙間でチェック
まずは11速チェーンの取り付け方法から

- チェーンをフロント:インナー / リア:トップ(最小スプロケット)に掛けます。
- リアディレイラーにもチェーンを通します。
- 下側のチェーンとディレイラーケージ(テンションプーリーとガイドプーリー間を通るチェーンの間隔)のクリアランスを確認します。
- 間隔が「8〜15mm」の範囲内に収まる位置でチェーンをカットします。
チェーンテンションが一番低い状態でチェーンを取り付けるのがカンパニョーロ11速の特徴です。クリアランスの間隔が範囲内であればスプロケットサイズがことなってもそのまま使用できるのが特徴的です。
【12速(機械式)の場合】「チェーンステー長」でリンク数を決める!
カンパニョーロの12速機械式は、スプロケットの歯数ではなく「フレームのチェーンステー長(BB中心からリアエンド芯まで)」を測ってリンク数を決めるという非常にユニークで合理的な設計になっています。
- チェーンステー長が「405〜415mm」のフレーム:
110リンクにカット - チェーンステー長が「415mmより長い」フレーム:
112リンクにカット
市販されているカンパニョーロ専用12速チェーンは「113リンク+C-Link(ミッシングリンク)」の状態で販売されています。ステー長さえ測ってしまえばスプロケットのサイズに関係なくサクッと決められるのが12速機械式カンパの大きなメリットです。もちろんスプロケットサイズがことなってもチェーンをカットして調整する必要はありません。しかし、チェーンリングが48-32T、スプロケ11-34T場合にのみチェーンステー長にあわせて異なるリンク数でカットすることになります。

・チェーンステー長が「405~409㎜の場合」:108リンクにカット
・410~415mm:110リンクにカット
・415mm以上の場合:112リンクにカット
ローギア比が1を切る、オールロード・グラベル向きなギア比の場合はカットが異なりますということです。
※カンパニョーロの電動コンポ12速コンポ(EPS旧有線電動/WRL旧無線12速電動)ではチェーンのカット方法が異なります。市場に出回ることがほとんどないレアな個体のため、今回は機械式に限定してカット方法を掲載しています。マニュアルのリンクを記載しますので、電動をゲットした方はリンクのマニュアルをご確認ください。
チェーン切りの向きに注意!!
カンパニョーロのチェーンをチェーンピンで取り付ける場合、チェーン切りの向きに気を付けてください。主に11速までとなりますが、ピンを圧入する際、チェーンの裏面からピンを挿入していきます。

裏面から圧入するため、工具の使い方がいつもと逆になります。作業もやりにくく、ピンを正しく圧入できないと変速不良やチェーンプレートを破損することがあるで注意してください。
3. スラム(SRAM)のチェーンカット方法
SRAMの場合、11速/12速でフロントダブル/シングルであってもカット方法は同じになります。
11速・12速共通の長さ決めルール(AXS・XPLR含む)
SRAMはフロントがダブルかシングルかで足すリンク数が決まります(リアディレイラーには通しません)。


- リアディレイラーにはチェーンを通しません。
- フロント:アウター / リア:ロー(最大スプロケット)に直接チェーンを掛けます。
- チェーンの端同士が重なり合ったゼロ位置から:
- フロントダブルの場合: +1リンク足した位置でカット
- フロントシングルの場合: +2リンク足した位置でカット
とっても簡単ですね。世代間問わず切り方に変更はありません。ワイヤレスコンポのe-Tapや現行ワイヤレスコンポAXSでも同様です。
12速用チェーンの形状に気を付けよう!!
SRAMの12速ロードコンポーネント(Red / Force / Rival AXSなど)は、チェーンの上部が平らになった「Flattop(フラットトップ)」という専用規格を採用しています。

- シマノチェーンの流用は厳禁!
フラットトップチェーンはローラー径が従来のチェーンよりも大きく、ギアの刃先形状もフラットトップ専用に削られています。そのため、「同じ12速だから」とシマノ製12速チェーンを使うと、歯飛びや駆動系の激しい摩耗・破損を起こします。 - 同じSRAMの12速でも流用NG!
SRAMにはMTB用の12速規格(Eagleなど、フラットトップではないもの)もあります。いくら同じSRAM製12速であっても、ロード用フラットトップ対応コンポに非フラットトップチェーンを取り付けることはできません。仕様を必ず確認してください。
中古車を手に入れたら絶対やるべき2つの注意点
前提としてお近くのプロショップでセーフティーメンテナンスを受けることを推奨しますが、あくまで個人で点検したい場合、消耗品であるチェーンをまずは点検しましょう。
① 「元のチェーンと同じ長さで切る」は絶対にNG!
チェーンを新品に交換する際、古いチェーンと新しいチェーンを並べて「同じコマ数で切ればいいや」とやってしまいがちです。

中古車の場合、「前オーナー(または前の整備者)が間違った長さでチェーンを取り付けていた」可能性があります。チェーンを交換する際は元の長さを信用せず、今回紹介した手順でゼロから長さを確認してから交換してください。
② チェーンチェッカーで摩耗具合(伸び)を即点検!
中古自転車についているチェーンは、パッと見は綺麗でも限界まで伸びきっているケースが多々あります。必ず「チェーンチェッカー」を使って伸びを点検してください。
11速/12速チェーンはわずか0.5%伸びているだけでも、変速性能が著しく低下するため交換推奨となります。さらに伸びたチェーンのまま走り続けると、高価なスプロケットやチェーンリングの歯をどんどん削ってしまい、後から高額な交換費用がかかることになります。

そもそも全オーナーの整備状況次第ではすでにスプロケとチェーンリングが消耗していて、チェーンを交換してもうまくかみ合わず「歯飛び」と呼ばれる現象が発生する可能性があります。こうなったら歯飛びしている箇所を丸ごと交換しなければ症状は解決しません。この現象で一番困る世代は10速デュラエースやスラムRED/フォース世代でしょう。すでに廃盤となっているパーツで構成されている中古車を購入される際は、しっかり整備状況とパーツの入手難易度もチェックしたほうがいいでしょう。
まとめ
各メーカー・各世代によって、チェーンの適正長さを決めるアプローチは全く異なります。
| メーカー | 世代 | 基本のカット決定方法 |
| シマノ | 11段変速(27T以下) | アウタートップ、ディレイラー通す、プーリー垂直 |
| 11速(28T以上) | アウターロー直掛け +2リンク(ピン)/ +1リンク(リンク) | |
| 12速 | アウターロー直掛けで規定コマ(MTB同様) | |
| カンパニョーロ | 11速(機械式) | インナートップ、プーリー間隔8〜15mm |
| 12速(機械式) | チェーンステー長で判定(405-415mm=110L / 415mm超=112L) ※48-32T/11-34Tの組み合わせの場合、チェーンステー長にあわせて特別なリンク数でカット。電動は取り付け方法が異なる。 | |
| スラム | 11速/12速 | アウターロー直掛け(フロントダブル:+1リンク / シングル:+2リンク) ※12速ロード/グラベルはフラットトップ専用! |
中古バイクは安く手に入る反面、見えない整備不良のリスクが潜んでいます。
「ショップで買ってないから整備なんてしてくれないよね・・・」確かに、そういう方針のショップもございますが、個人の力ではどうしても整備できないようでしたらからなずショップに相談しましょう。メカトラブルで重大な事故が起きてしまっては大変です。
トラブルのない快適なサイクルライフを楽しみましょう。整備トラブルやご相談など、コメント欄で受付中です。筆者は整備士免許も持つ現役整備士ですので何なりとご相談ください。

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