ロードバイク界の絶対王者、シマノ。その最高峰である「デュラエース」の新型プロトタイプが、ついに実戦投入されているようです。
流出した画像やテストバイクの細部を観察すると、これまで噂されていた「完全ワイヤレス化」の予想を裏切る、シマノらしい独自の進化が見えてきました。
1. 待望の「13速化」と新規格フリーボディ
最も大きなトピックは、やはり変速段数の13速化でしょう。
多段化に伴い、フリーボディも13速専用の新規格が登場することが確実視されています(これについては[前回のブログ]で詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてください)。

13速化により、よりワイドレンジなギヤ構成でもクロスレシオを維持できるようになり、あらゆる地形での効率がさらに高まることは間違いありません。
2. 「完全ワイヤレス」ではなく「有線セミワイヤレス」の継続
スラムなどの競合が完全ワイヤレスを推し進める中、新型デュラエースは意外にも現行の「有線セミワイヤレス」方式を継続するようです。

「まだ有線でいくの?」と思う方もいるかもしれませんが、変速スピードの安定性、バッテリー管理の簡素化、そして何より信頼性を最優先するシマノの哲学が反映されているのでしょう。プロの過酷なレース環境では、瞬時のレスポンスが命。あえて有線を残した判断には、開発陣の強いこだわりを感じますが、やはり完全ワイヤレス化を先にはたしたSRAMがその技術の特許をすでに取得しているのも影響しているはずです。

カンパニョーロは特許を回避するため、バッテリー側にディレイラー取り付けフックを備え、前後で形状の異なるバッテリーを使用することで完全ワイヤレス化を実現しました。いろいろ憶測はあるかもしれませんが、シマノはこれまで通りセミワイヤレスになることがほぼ確定しました。
3. 伝統の「アルミクランク」とダイレクトマウントの採用

「ついにカーボンクランク化か?」と期待されていましたが、リーク画像を見る限り、新型も伝統のアルミ製を貫くようです。デュラエースが生まれた歴史をたどれば、クランクをカーボンにすることは今後もないはずです。
「カーボンではデュラエースが求める極限の変速精度(剛性と精度のバランス)を実現できなかったのではないか」という専門的な意見もありますが、デュラエースのクランクはアルミでないといけない。いけないのです!!
また、形状から推測すると、クランクアームとスパイダーが分離するダイレクトマウント仕様に見えます。
これにより、PCDに縛られずチェーンリングの交換が可能になります。フロントシングルで巨大なギヤを使うタイムトライアルから、小径ギヤを必要とするグラベル・オールロード的な運用まで、活用の幅が劇的に広がりそうです。
4. STIレバーに「エアロポジション専用スイッチ」が増設
ブラケット形状もブラッシュアップされていますが、注目はレバー先端の内側に増設された新しいスイッチです。

昨今のトレンドである「内側を握るエアロポジション」をとった際、指を動かさずに変速できる位置にスイッチが配置されています。スラムやカンパニョーロでは既に見られる機能ですが、シマノもついにメインの変速操作としてこれを組み込んできました。現行の「隠しボタン」よりも、より直感的で実戦的な操作が可能になるはずです。
5. 新規格「シマノ専用UDH」の登場
リアディレイラーの取り付け方法も一新されます。
SRAMが提唱したUDH(ユニバーサル・ディレイラー・ハンガー)対応フレームが増えていますが、シマノはそこに「シマノ専用のUDHディレイラーハンガー」を介して装着する方式を考えたようです。

実は、すでに発表されている「スペシャライズド Tarmac SL9」や「サーベロ S5(2026世代)」のフレームには、この新型シマノハンガーを固定するためのものと思われる「謎のピンホール」が空いています。

カンパニョーロも専用UDHを採用する例があるため、シマノも独自の固定力を高めるためのギミック(ハンガー内側の突起など)を盛り込んできたと考えられます。
この専用ディレイラーハンガーに対しても、SRAMの特許が関係していることは間違いありません。どうしてもライセンス料をSRAMへ払いたくないシマノの事情があるのでしょう。しかし、このピン付きUDHでないとデュラエースが使えないという仕様で販売することはないはずです。(あくまで希望)
このピンは一体なんなのかというと、衝撃でUDHが回転してしまうのを制御する役割があるそうです。本来UDHは、衝撃が加わると60度ディレイラーハンガーが回転する仕様として発表されました。これにより衝撃からディレイラーを守る役割もあったのですが、フレームメーカー側はその60度回転する余地をのこしてフレームを製造することはほとんどなかったそうです。むしろ回転せずしっかり固定されるような設計がおおく、UDHの取り付け自体も左右からボルトでしっかり挟みこんで固定しています。だったらピンを増設してフレーム側にピンホールを切削することで回転そのものができなくなるようにしてしまえというのが、今回リークされたシマノ専用UDHになります。(これでライセンス料をスラムに支払うこともないでしょう)
フレームメーカーはこのシマノ専用UDHをつけることも想定して、今後はピンホールを切削した状態で市場に展開するはずです。そうでないと、ピンホールが空いていないとユーザーからクレームがきそうですしね。空いていてもピンホールなしのUDHはそのまま使用できるので、だったらあらかじめ切削しておいたほうがいいでしょう。
リークされている記事を見る限りではUDHにピンがついているだけなのでUDHをそのまま使用してもいいように思えます。またはシマノUDHのピンを削って、ピンホールが切削されていないUDHフレームに適合させてしまえばいいかも。こればかりは実物を見てみないとわからないため、今後の情報をしっかり確認していこうと思います。
まとめ:互換性なしの「完全新世代」へ
これまでの情報をまとめると、新型デュラエースの特徴は以下の通りです。
- 変速段数:13段変速
- フリーボディ:13速専用の新規格
- クランク: 伝統のアルミ製(ダイレクトマウント化の可能性大)
- STIレバー: エアロポジション対応の増設スイッチ
- マウント: シマノ専用UDHの採用
- コミュニケーション方法:有線セミワイヤレス継続
現行のR9200シリーズとはほぼ全てのパーツで互換性がない「別物」になると考えていいでしょう。12速コンポーネントをあえて買わなかったユーザーは、R9300で劇的なアップグレードを果たせるチャンスかもしれませんし、完成車でR9300をゲットしたいユーザーは、絶好のバイクチェンジ時期になるかも。
現在ブエルタで走っているプロトタイプが最終段階であることは間違いありません。
「バラ完」で最新コンポを組み上げるか、それとも新型搭載の完成車を狙うか。サイクリストにとって、非常に悩ましくも刺激的なシーズンが始まろうとしています。
今後の続報からも目が離せません!










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