「完全内装」昨今の自転車ではトレンドというか、当たり前に完全内装のロードバイクが普及してきましたね。
MTBでも一部モデルは完全内装化を果たしています。もちろんグラベルバイクも。一体型ハンドルとの組み合わせはかっこよすぎる。

電動ワイヤレスコンポも完全内装化を普及させた立役者でしょう。今度もコンポーネントはさらに進化していくことでしょう。

しかし、機材の精密性と機密性が向上するあまりリムブレーキ時代より簡単にコックピット(ハンドル周り)の仕様変更が難しくなっています。一部モデルは交換することすら不可能。
「ハンドルを変えたいけど、僕のバイクのコックピット周り(規格)がさっぱりわからん!!」
大多数のユーザーが困っていることだとおもいます。今回は、完全内装規格についてです。
目次
- 完全内装規格まとめ
- FSA完全内装規格
- ACR完全内装規格の代表
- ACRのデメリット。組み付けの難易度
- SMR汎用性の高い完全内装規格
- サードパーティが使えない完全内装フレームまとめ
完全内装規格まとめ
まずサードパーティ製で最も普及している完全内装規格をおさらいしましょう。
最も普及している完全内装規格は
- FSA
- DEDA
この2社になります。
特徴としては、ヘッドベアリングのサイズがさらに大きくなった「ワンポイントファイブ(1.5)」を採用しています。

テーパーヘッドと呼ばれる上下でベアリングサイズを変えて剛性を高める規格が提唱され、完全内装化が進むにつれて上下のベアリングを1.5サイズで統一してケーブルをフレームに収納しやすくしました。
1.5サイズであれば機械式、有線電動、無線電動コンポーネントでも完全内装が可能で、フォークコラムの形状は変えず、フレームヘッドチューブ規格のみを変更させれば完全内装化が可能となるのです。
FSA、DEDAはハンドルやヘッドパーツを作り続けているブランドのため、この上下1.5サイズ規格の完全内装規格はいち早く世界に普及しました。
FSA完全内装規格
DEDAとFSA。それぞれの完全内装規格を細かく記載したいのですが、長文必須なので今回はFSAの規格をご紹介します。
FSAの提唱する完全内装規格は以下になります。
- ACR(ハンドル→ステム→フレーム間まで完全内装)
- SCR(ブレーキホースのみハンドル内部を通過)
- SMR(機械式/有線電動/無線電動すべてに対応する完全内装。ステム下部にケーブルを沿わせて内装する。
- SRS(簡易内装規格)
- ICR(フラットバー/MTBフレームの完全内装規格)
SCRは無線電動コンポーネントが普及した現代ではほぼ使われていません。組み方次第ではACRやSMRでも有線電動コンポーネントを内装化はできなくはない為、ICRも同様にあまりお目にかかることはない規格でしょう。
FSAでメインとなる規格はACRとSMRとなります。ほぼこの2つの規格が完成車でも採用されることが多いです。
ACR完全内装規格の代表
FSAの完全内装規格はACRから始まりました。
僕がこの規格を知ったのは、新型デローザメラクにこの完全内装規格が装備された時でした。

ACRはハンドル→ステム→フレーム間を通る「フルインテグレーテット(完全内装)」規格です。
ブレーキホース、シフトケーブル、エレクトリックケーブルの一切が露出する事なくフレームへ内装させる為、仕上がりはとても美しいです。最大4本までケーブルを内装できるため機械式ユーザーにもオススメの規格です。
僕も今乗っているインプルソCOMPはこのACRと似た規格でケーブルを内装する規格を採用しています。
フレームが上下1.5サイズのベアリング規格を採用していれば、ACR規格のコックピットはあとからでも換装可能です。
しかし、組み付けの難易度は高めになります。
ACRのデメリット。組み付けの難易度
まずケーブルをハンドル→ステム内を通す時点で難易度は高いです。
確実にハンドル内部はケーブルで大渋滞。機械式の場合ケーブルも太くなるから、一見すると何がなんやらわけわからん。

無理に入れようものならケーブルに傷が入ったり、ブレーキホースを折る可能性があるから注意しましょう。
そしてステム内部へケーブルを通していくわけだが、ACRは独特のケーブルルーティングを取っている。何とフロントブレーキホースはステム上部からプレッシャーアンカーを貫通する形でブレーキキャリパーに接続されるのだ。



プレッシャーアンカーを通してブレーキホースを接続させる形状のため、コラムの高さを低くしたいときはコラムカットが必須となる。うまいことハンドルだけ外してコラムカット出来ればいいだろうが、プレッシャーアンカーをブレーキホースが貫通するため一度ホースを取り出す必要がある。
うん。この時点で一般家庭でできる作業の域を超えている。ACRはポジションが決まっていてコラムカットを後々する必要がほぼないユーザー向けと見える。
ただ例外もある。僕のインプルソの様に、フォーク内部にブレーキホースを通すルートが作成されていてホースの出口が決まっている場合、ACRのプレッシャーアンカーを通す方法でブレーキホースを通せない。

この場合、ホースはコラム外部を沿ってフレームへ内装されていく。この方法であればコラムカットが必要になった際、ハンドルをいったんコラムから取外してからソーをあててカットができる。

僕の場合、フロントシングルで機械式コンポーネントなのでフレームには3本のケーブルが入る。3本束ねた厚さを計測したところ、ヘッドパーツの穴には十分はいることが分かった。後は、ハンドルとステムにさえケーブルを内装するだけだ。
見て分かる様に、ACRは対応するフレーム、ヘッドパーツ、ステム、ハンドルこれらが全て合致することではじめて機能する。スペーサー内部にもケーブルが通る仕様上、何か1つがACR非対応の場合、規格を完成させることは不可能である。



完全内装規格を変更するにはヘッドパーツも含めてコックピットを一新する必要がある。
Bianchiの様に、採用されている完全内装規「acros icr」が国内で入手不可能なモデルは、コックピットすべてのを変更を余儀なくされるためそれなりのコストと時間がかかることは覚悟しておこう。
SMR汎用性の高い完全内装規格
ACRの発表の後にリリースされることとなるSMRは汎用性の高い完全内装規格だ。


SMRの特徴として、ケーブルはステム外を通してフレームへ内装することが可能だ。
この方法なら、ACRの様にハンドル内部へケーブルを全て内装する規格のハンドルを使う必要が無い。自分の好きなハンドルを使用してSMR対応のステムを使用すればいいのだ。

MERIDAのリアクトやスクルトゥーラはこの方法で完全内装化をはたしている。コラムの高さを自由に試せ、ハンドル幅の変更にも対応可能。ヘッドパーツさえFSAの完全内装規格に対応していればいいのだ。
この方式は多くの完成車モデルで採用されている。ヘッドパーツ規格は違えども、ステム下にケーブルを沿わせて完全内装させるほうが組み付けやすいに決まってる。ACRは上位モデルに採用され、エントリーモデルはSMRといったスタイルがこれにより普及してきた印象。
SMRをすでに導入しているユーザは、ACRへの変更も容易だ。ヘッドパーツとスペーサーは統一されているため、ステム、または一体型ハンドルを取り付けるだけで交換が可能となる。
バラ完をしたいユーザーで手っ取り早く組み上げたい、一体型ハンドルはまだつかいたくない人はSMRを選択することをオススメする。
サードパーティが使えない完全内装フレームまとめ
世の中には独自の完全内装規格を採用したメーカーも多数存在する。
「この専用ハンドル、使いにくいから交換したいんだけど、これつけれるかな?」
最近しょっちゅう相談を受けるので、僕が調べた限りで、FSAやDEDAの様なサードパーティアイテムが使えないフレームをまとめて見みました。
絶対に使うことを許さないメーカーは以下になります。
- スコット
- BMC
- Bianchi(オルトレCOMP以上)
- GIANT
- CANYON
- PINARELLO(2026モデルFシリーズ)
まずスコットとBianchiオルトレプロ以上のモデルは共通してコラム径が一般的なフォークコラムより細くなっています。

単純にコラムが細いためステムが装着できません。この2車はグレードによってハンドルが2ピースかワンピースとなり、スコットは専用ワンピースハンドルとの交換は可能ですが、BianchiオルトレCOMPは上位モデルPROやRCで使用される一体型ハンドルとの交換はできません。購入する際はグレード選びに気をつけましょう。
BMCに至ってはコラム形状そのものが丸くなく、ケーブルの通り口がコラム左右からなので対応できません。
GIANTやCANYONは逆にコラム外形が太いため、ステムが装着できません。ステム内径をシムで調整することで太いフォークコラムにも対応するサードパーティも存在しますが、CANYONに至ってはフレームバラ完する機会なんてほぼないし、コックピット交換事例もほぼ聞かないため情報が少なすぎる。そもそもしなくていいブランドだと思っている。
PINARELLOは2026モデルのFシリーズよりコラムの形状が楕円となるため、MOST製のステムと専用ヘッドパーツを使用しなければ内装化はできません。ハンドルのみでしたらFSAとVisionのハンドルは使用可能です。
ACRでの組み方をみた限り、ライダーにバイクを合わせるのではなく、ある程度バイクにライダーが合わせろ的な要素もあります。
完成車モデルで変更の効かない規格である場合はしっかりショップとサイズを相談して購入しましょう。
次回はDEDAの完全内装規格についてご紹介していきます。


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